だが万馬券は当たらない

急死したとき遺族にこれを読んで俺の存在を感じて欲しくて書いてる

うめき声

第1稿は地獄。長距離を走るのと同じであの“苦しみ”にいつも慣れない。こんなひ弱な人間に「なんとなくこれが必要だと思う」直感だけを根拠にセリフと小道具と情景と展開の進展を、させるな!!!!

第1稿は地獄。はやく終わらせたい。●んでくれ。頼むからはやく●んでくれ。自分は生きてる価値のないクソみたいな低脳人間だと思う。こんな文章で人をどうこうするなんて望んじゃいけないと思う。はやく僕を殺してほしい解放されたい。一日3000文字。一日ワンプロットを完結させる。生まれるのは前後のつながりが希薄な15の中規模な文章? 冗談よせよ、そんなことしないためにプロットってやつを立てたんだが? 死にたいよママ、俺はいつまでたっても実家に寄生して親のすね齧って自分は天才だと思って生きていきたいよ書けば書くほど自分が自分じゃなくなってただのゴミカスに落ちぶれていく感じがするよこれが「現実」の手触り??俺は凡人ですすみませんでした、もう許してください。

第1稿を、ぶっ殺す。ゴミカスクソゴミ低脳低俗パクリ無意味時間の無駄第1稿を書いている者ですよろしくお願いします。特技は過剰な自信を失わさせられ絶望することです。鏡に映った自分こんな間の抜けた顔してたんだなって思うよあらゆるものに自信が持てなくなってる。全部ゴミカス第1稿のせいだ。でも僕にはどんなにゴミカスでクソゴミで無駄で無意味でパクリで言いたいこと伝わらない自己満足で思わせぶりで才能の震えなんて一片も感じない駄文でもこれを書ききって次に進むよ、俺は鳥を殺すよ、リリー。これを書ききらないことには何もかも始まらないで僕の頭の中だけで終わっちゃうのは嫌なので俺は鳥を殺すよ、リリー。凡人の中に埋もれたくない自分の力を世界のすべての人間に誇示するために今日も誠心誠意鋭意、克己奮励努力前進していきます! 身命賭して!かしこ!

 

以上のうち半分は「嬉しい悲鳴」です、悪しからず。

第1稿をぶっ殺す!!

 

 

カートヴォネガット 「第1稿はいつも、死ねばいいと思って書いている」

三島由紀夫「書きはじめるのと同時に、書きだす前はあれほど容易に見えたすべてのことが、何といふ困難で充たされてしまふことか」

大江健三郎「僕のただ一つの願いは、この世から第1稿を書き出す苦しみが消えて無くなることです」

村上龍「『ブルー』は5回書き直した。その頃はよく分からなくても、自分がひどい文章を書いていることだけは分かった」

村上春樹「僕にとっては、推敲が小説家の本業のようなものです。長編は少なくとも6度の推敲を経てゲラになり、それから更に訂正を加えます」

ヘミングウェイ「『武器よさらば』の結末を39回書き直したことは有名だが、俺にライフルを持たせたのが新たに着手した第1稿の難しさだったことは誰も知らない」

ウマル・ハイヤーム「飲まずに着手することはない」

キング「まずは完成させることだ。初稿を完成させてから始まる。まずは完成させることだ」

川端康成「いつも真夜中に筆を取る。昼の明るさは第1稿の苦しみにそぐうものを一つも持たないからだ。夜はその点やすらかで良い」

 

 

 

 

 

↑6/9は俺の創作。